こうでなくっちゃ、演劇作家。変態性、存分に発揮されて。

くしゃみ、ぶっかけられても、なお。


というエッセイの中に
「くしゃみは臭い。でもぶっかけられてもなお、苦じゃない、むしろ浴びに行きたくなるくらいの、そんなおんなのこがいる。むしろ、臭くなきゃいけない。ぶっかけてほしい」という意味のことがひたすらに連呼され、それが落ちに繋がる、という、一編がある。




現場を想像すると気分が悪くなるのになんだかラストでしんみりもしてしまう。





『おんなのこ は もりのなか』
女子への尽きない興味を、執拗に書いているエッセイ集。
振り回されたいらしい。
振り回されることが気持ちいいらしい、豊かな気持ちになるらしい。



帯を書いた、又吉直樹さんはこう言う。
『透き通った変態性と切なさが最高でした』と。





作者の藤田貴大(ふじたたかひろ)さんは演劇作家だ。

1985年生まれ。2007年に”マームとジプシー”を旗揚げし、2011年に第56回岸田國士戯曲賞している。


いまかなり注目されている若手の演劇作家さんとのこと。
海外公演をしたり、国内でも精力的に活動している様子。



まだ作品を見たことがないが、
きっと見ている方が困惑するような女優の使い方をしているだろう、と想像する。


女子にあんなことやこんなことをさせたい、言わせたい。
そういう要求を突きつける僕を軽蔑して欲しい。
受け入れて欲しくない。突き放して欲しい。



そう考え、女優たちに白い目で見つめられる作者が、
王道の感動ものがたりを描くとは考えにくい。



本作は、句読点が多かったり、変なところで文章が区切ってあったりして、けっして読みやすいとは言えないが、それがむしろ思考の流れそのままに見えてリアル。


頭の中ってそうなっているよね、と。
ひとつ気になるとそこばっかりしか気持ちいかなくなるよね、と。




彼に「なんか書きませんか、女子のことなんてどうでしょう」と持ちかけたananって。
ある意味、さすがって感じ。



ananの読者はどう思っただろう。
引いたのではあるまいか。
不快感を持ったのではないか。




あ、でもいいのか。
藤田さんからしたら
「やったぁ♡」
だろうから。





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